糖尿病関連情報

アルコールはほどほどに

夏はビールがおいしいですね。僕は夕食に米を食べずに麦を摂取しています。麦というのは麦酒、すなわちビールのことで、一日の疲れをいやす「プハッー」は、特にこの季節、何物にも代えがたい感があります。僕自身が若干はアルコールをたしなむので、患者さんには診察室でアルコールについてそんなにうるさくは言っていません。タバコは百害あって一利なし、それに比べるとお酒は百害あって一利あり、ということになるでしょう。アルコールは適量であれば血圧も低下するし、ストレス解消になったり、コミュニケーションの潤滑油だったりします。さらには血糖コントロールについても少し改善するというデータを出しているグループもあります。ただし、これらのメリットは「適量であれば」という条件つきです。適量というのは、ビールなら350ml、日本酒では1合弱、焼酎だったら半合くらいになります。ウイスキーだと約60ml。左党の方は、是非この適量がどのくらいかを覚えておいてください。
 適量を超えて飲み続けると肝臓や膵臓をやられてしまう。でも、そこまで多く飲まなくても、糖尿病の方では、思わぬトラブルのもととなってしまう場合があります。

 高血糖となる場合:糖質の多く含まれるアルコール飲料としてはビールや日本酒・缶チューハイなどがあります。それらの糖分を摂取することで、血糖値が上昇しやすくなる。しかしむしろ高血糖は、お酒そのものより、お酒と一緒に食べるものが原因となりがち。お酒を飲むと食欲が増しますね。そのため、ついおつまみなど、だらだらと食べたりする。加えて、酔ってしまうと自制心も働きにくい。

 低血糖となる場合:逆に、おつまみなど食べずにアルコールばかり飲んでいると、今度は低血糖のもととなります。これは、アルコールを分解する酵素が消費されることで、その酵素の低下によって肝臓からの糖が放出されにくくなることによります。特にSU剤というインスリンを出させる薬を内服している方で起こりやすいと言われます。

 このように、アルコールは上手な付き合い方をしないと、血糖コントロールを乱すもととなります。「適量」が一番。ただ、厄介なのは「アルコールを適量で止めておく」ということが困難な人の場合です。
 そんな方の場合、最初から酒に近づかないこと。飲みだしたら、最後まで行ってしまうという方、すでに重度の肝障害など飲酒してはいけないような病態があるのに、どうしても飲んでしまうという方、そういった、いわゆるアルコール依存症の可能性のある方は一度診察室でご相談ください。近くの断酒会をご紹介したり、嫌酒剤等を用いていただいたりしながら禁酒を行っていただくことも可能です。

ページトップへ