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「終活」と「人生会議(ACP)」

( 院長 片岡伸久朗 )

3月5日の中国新聞には、終活の準備と題して落合恵子さんと毒蝮三太夫さんのオピニオンが載っていました。
目にされた方も多いかもしれません。
落合さんは「昔より死が日常生活から遠ざかっている。死をもう一度自分の方に引き寄せることも豊かに生きる上で大事」、と言っておられます。
毒蝮さんは「病気で倒れてから遺産相続の話なんかするからうまくいかない、元気なうちに最初は冗談半分でも話をすることが大切」、と言っておられます。
いま、遺産相続や終末期の希望を事前に決めておく「終活」が一種のブームのようです。
一方で最近「人生会議」という言葉を聞くことが増えたように思います。
「人生会議」ってなんのこと?その元はやはり英語で、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」、日本語にすると、“前もってその時のことをプランしておく”とでも訳せましょうか。
「終活」という言葉のほうが日本人にはピタッと来るのでしょうが、「人生会議」ってさらに広い範囲のことを含んでいるようです。
終活は最期の日を迎えるための準備を自分一人で行うイメージがありますが、「ACP」は人生“会議”ですから、最期の日のためにほかの人と話し合っておく、というように受け取れます。
実際ACPとは、自分が大切にしていることや希望、どんな医療やケアを望んでいるかについて、事前から考えて、信頼する人たちと話し合うことを言います。

ヒトは生まれたからには必ずその命が尽きる時がやってきます。
しかし、日本という国は古くから言霊が支配しており、死ぬことを口にしたりすると、縁起でもない、そんなこと口にするな、とか言われます。
でも、この「終活」なり「人生会議」は、その言霊の風習に逆らって、自分が死ぬときのことや、死んだ後のことを言葉にしておくものです。
最初はそういったことに抵抗があるかもしれませんが、その時のための心づもりをしておくことは、ご高齢の方だけではなく、誰にとっても大事なことです。
人生の終わりを見越して行っておくことは、遺された家族の負担を減らし、残りの人生を前向きに生きるきっかけにもなります。
いざ「終活」なり「人生会議」を始めようとしても何をするべきかわからない、どこから手を付けるべきか迷う、という方も多いでしょう。
死後のことを考えるだけが終活ではありません。
落合恵子さんの言われるように“豊かに生きる”ためには、まず老後にやりたいことをリストアップする、老後の暮らしを支える資金計画を立てる、といったことから始めるのもよいと思います。
「終活」なり「人生会議」を始めるタイミングは人それぞれです。
しかし、気力と体力があるうちから始めておくと物事がはかどりやすく、必要な資金調達もしやすいとされています。
まず取り組むべきことは以下のようなことです。

  • 身の回りの整理
  • 財産や不動産のある方は相続の準備
  • 遺言状の作成
  • 治療、介護の意思表示
  • 葬儀、お墓の意思表示
  • エンディングノートの作成

僕自身の終活なり人生会議もしておかないといけません、まずは家内と相談し、墓所をどこにするか、遺影はどれを使うか、といったことを決めることから始めてみましょうか。


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