糖尿病関連情報

お口の中は雑菌だらけ


昨年のこのかたくり欄で「はいはい、次なるターゲットは?」とお書きしたことを覚えておられますか?
糖尿病患者さんの死因調査で1位・2位となったのが癌と感染症であり、その中でそれぞれ肺癌、肺炎がトップでした。
これらの予防が糖尿病患者さんの寿命をさらに延ばしてくれるものと考えられるため、その予防・対策についてお書きしました。
その原稿の中で、「肺炎予防のために平生から口の中の清潔を保つことも誤嚥性肺炎を予防する効果があります」と書いています。
サラーっと流した部分ですが、重要なポイントと思われますので、今回のテーマは「お口のケア―口腔ケア」としましょう。

まずケアをしてない口の中を想像してみてください。
口は食べ物の入り口ですから、ケアが十分してないと栄養分がたくさん残っています。
しかも口腔内の温度は細菌が繁殖するのに最適ですから、短時間であっという間に雑菌が殖えやすい。
特に歯は、皮膚や粘膜のように表面がどんどん新しく再生したりしないため、細菌がはびこりやすいのです。
台所やふろ場のぬめりは、歯の表面のぬめりと同じようなもので、共に業界用語では「バイオフィルム」といい、微生物の塊です。歯のバイオフィルムを一般的には歯垢―プラーク―といいますね。
口の中の二大疾患、虫歯と歯周病は共にバイオフィルム感染症ということになります。
まずは、このバイオフィルムの形成を防ぐのが口腔ケアの第一歩、その基本がブラッシングです。
歯肉縁に45度の角度で当て、左右に振動させるように磨き、それから歯茎から歯の方向へ回転させるように磨く。
でもまあ、大切なのは歯垢を落とすことですから、いろんな角度からあてて磨き残しがないようにするのが重要なのでしょう。
デンタルフロスや歯間ブラシも使用する方が良いでしょう。
歯肉の腫れや出血しやすい箇所にはやわらかい歯ブラシでプラークの除去を行ってください。
無理に歯周ポケットの奥まで掃除しようとしなくてもいいようです。
歯肉縁までをきっちりブラッシングしてください。
歯肉縁下はプロに任せた方が良いそうです。
特に歯茎が後退して歯周ポケットが深くなっている方、すでに歯周病に侵されて歯槽骨が溶けてきている可能性があります。
早めに歯科を受診するのがベターです。
どなたも3カ月に一回程度は歯科検診を受けた方が良いようですが、特に義歯やインプラントの方は定期チェックを怠りなく。

次に口の中の乾燥対策。唾液に殺菌作用があるのはよくご存じと思いますが、唾液分泌が少ないとカンジダが発生しやすくなる。
食べるのにゆっくり時間をかけた方が唾液分泌は促進されますし、唾液腺のマッサージや口内用の保湿ジェルなども効果的です。
それからうがい。
保湿系のマウスウォッシュも有効なようですし、ノンアルコールの方が乾燥しにくい。
水でも、アズノールなどのアズレン含有のものでも構いませんが、うがいは3種類行うそうです。
ブクブクうがいで歯についている汚れや食物残差を除去。
クチュクチュうがいで歯と歯の間に水を通す。
最後にガラガラうがいでのどの汚れや細菌を除去する。
寝ている間、口が開いてる方もありますので、寝る前のうがいの後はマスクを着用して就寝します。

口腔内の雑菌が気管支の方に入り込んで肺炎を起こすのが誤嚥性肺炎です。
誤嚥は特に夜間に起こりやすいとされ、就寝時の口の中を衛生的に保つことにより、こうした肺炎をある程度予防することが期待されます。

今回の記事は今月号のDITN(2017年12月5日発行分)を参照しています。
その最後に糖尿病患者さんの口腔ケアがまとめてあります。

①口腔乾燥を防ぐ対策として、唾液分泌を促すこと
②歯ブラシによるブラッシング
③うがいをすること
④定期的に歯科医院を受診すること。
これらに加えて、禁煙が重要なのはいうまでもありません。

蛇足;この記事を読んで、彼氏や彼女、愛する伴侶の方とkissがしにくくなったという方、ごめんなさい。

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