糖尿病関連情報

「ロコモ」について知っておきましょう

衝撃的な統計データですが、どうやら事実のようです、ネタ元は厚労省のホームページですから。《平均寿命と健康寿命をみる》
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf) というサイトがあって、そこに平成22年時点での都道府県別の平均寿命と健康寿命が載っています。
それによると広島県男性の平均寿命は79.97才で全国12位と割に上位です。
しかし、健康寿命は意外に短く、70.22才で全国30位。もっと驚くのは、広島県女性です。平均寿命は87.04才で全国7位なのに、健康寿命は72.49才で46位、下から2番目です。平均寿命は長いのに健康寿命が短い、その差が14.55才もある。 平均寿命と健康寿命は、できるだけ近くあってほしい、生きている間はずっと元気に過ごしたい、というのが万人の望みです。
俗に、「ピンピン・コロリ」と言いますが、理想的なのは、平均寿命を全うしたうえで
「さっきまで元気にしていたのに、ちょっと休むよって言ったまま眠ったように逝っていた」というパターンかもしれません。 現実にはそうなっていない。すなわち、広島県の女性では、14-5年もの間、健康を損なった期間がある、ということになります。

では、健康寿命を短くしているものは何か?
健康寿命と平均寿命が乖離する三大原因として挙げられているのが、メタボ、認知症と、ロコモです。それらのうち、人数的にはどうやらロコモが最多のようで、整形外科学会は、 予備群も含めると日本人でロコモの方は4700万人に上ると推計しています。「ロコモ」の正式名称は「ロコモティブシンドローム」、日本語にすると「運動器症候群」です。
整形外科学会はこの「ロコモ」という概念を 「メタボ」という単語が一般化したように、一般に浸透させたい、と考えています。 運動するための部品である「骨」「軟骨」「関節」「筋肉」などに障害が出てきて、立つ、歩く、といった基本的な日常動作に支障が生じてくる、
これが「ロコモ」ということになります。具体的には骨粗鬆症による骨折や、歩くと膝が痛い、といった変形性膝関節症などの整形外科的な病気が含まれます。 年齢とともに部品が中古になるのはある程度仕方がない、しかし、上手に使えば結構長持ちさせることができます。「ロコモ」とロコモ予防の手段について特にご高齢の方に知っておいていただきたい。

では、ロコモ予防の妙薬は?
といえば、やっぱり基本は食事と運動です。ただし、食事といっても、食事制限ではない。むしろしっかり良質のものを食べてください、というのが基本です。 糖尿病の方にしっかり食べなさい、というのは今までの食事療法と違う、と戸惑われるかもしれませんが、
高齢の方ではむしろ栄養不足が心配です。後期高齢者の方は体重を減らさないように。9月4日の中国新聞から抜粋します。 『筋肉をつけるには運動だけではだめ。
運動と栄養の両方が大切。一般に高齢者は栄養不足になりやすい。 栄養が足りない状態で運動すると、不足した栄養素を自分の体から補うしかないため、筋肉や脂肪の分解が進んでしまい逆効果になる。』というわけで、最近、診察室でも後期高齢者の方には、しっかり肉を食べていただくよう促しています。 いいですか、お菓子や果物でなく、
「肉をしっかり食べる」というのがポイントです。

運動としては、ウォーキングのみでは筋肉がつきにくいといわれますので、是非筋トレを行っていただきたい。 股関節や膝関節に問題がなければ、膝の屈伸運動−スクワット−が望ましい。片脚立ちも有用です。スクワットの難しい方は座ったままでゆっくりと足の挙げ下ろしをしましょう。可能ならプール歩行。こうした運動で、大腿の大きい筋肉を維持する。 さらに、つまずき防止には、爪先を挙げる運動や、爪先立ちになる運動が効果的です。クリニックにそういった運動のプリントが用意してありますので、それを参考にしてください。 後期高齢者の方のための合言葉、「肉を食べて、肉を使って、肉をつける。」
それが、ロコモ予防であり、いつまでも自分の足で歩き続けることにつながります。



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