糖尿病関連情報

メトホルミン再び

2003年の「かたくり」の記事でビグアナイド剤のひとつのメトホルミンについてご紹介しました。再度この薬剤のメリットが世界中で見直されているため、「メトホルミン再び」というタイトルにしてみました。
 メトホルミンの歴史は古く、既に1961年−昭和36年−には発売されていたようです。
 しかし、他のビグアナイド剤の一つの「フェンホルミン」が乳酸アシドーシスという重篤な副作用を起こしやすいために、十把一絡げですべてのビグアナイド剤が世界的にほとんど使用されなくなりました。
 僕が安佐市民病院に赴任した1993年の頃は少しずつメトホルミンが見直されていた時期であり、ヨーロッパを中心にビグアナイド薬の中でただひとつメトホルミンは安全で有用だ、といくつもの論文が出ていました。そうした論文を読んで、当地区では先駆的にこの薬剤を開始したわけです。
 当時メトホルミンについての講演も何度か行わせていただき、そのためか安佐地区では比較的よくこの薬が用いられている、と伺っています。
 しかし、日本全体でみると、まだメトホルミンの使用量はそんなに多くないようです。

<この薬の特徴を列挙します。>
1. 価格が安いこと。
  一錠が9.9円で、3割負担とすると約3円、一般的な一日4錠では一日12円くらいのコaaaストとなります。これは、缶コーヒーの約10分の一くらいです。
2. 低血糖や体重増加をきたさないこと。
  インスリンを出させる薬ではないのでこの薬単独では低血糖を来さない。この薬の作aaa用は、一般的には肝臓から糖が遊離するのを抑える、と言われていますが、最近aaaAMPキナーゼという酵素を活性化することが分かってきました。この酵素を活性化すaaaる、ということは体内の燃焼スイッチを入れる、ということにほかなりません。
3. 血糖を下げて糖尿病三大合併症を抑制するだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞といった aa動脈硬化で生じてくる大血管障害を抑制する証拠が出ている薬剤であるということ。
4. さらに、最近分かってきたことですが、どうやらこの薬が癌を抑制する力があるらしい。aaa糖尿病でない人に比較しても糖尿病でこの薬を内服している人は癌の発症あるいはaaa進展が抑えられている。最近ではこの薬剤を抗癌剤として、糖尿病のない人でも使aaa用する試みが行われているようです。

 欧米では既に、肥満の有無にかかわらずメトホルミンが糖尿病薬の第一選択です。本邦でも遠くない将来、この薬が第一選択薬として記載されるようになるだろうと考えています。
 ただし、非常によいくすりではありますが、腎不全・心不全・呼吸不全といった方には禁忌ですし、飲酒量の極端に多い方にも不適当です。下記ような注意事項もあります。院内にも掲げていますが、「再び」掲げておきましょう。


〜ビグアナイド薬を服用中の方へ〜

糖尿病のお薬で、ビグアナイド系という薬剤があります。
商品名では「メトグルコ」「メデット」「グリコラン」「ネルビス」「メトホルミン」「ジベトス」などがそれにあたります。これらは、最近では癌の抑制効果も明らかとなってきており、非常に有用な薬剤ですが、下痢・嘔吐・脱水などの際には、乳酸の蓄積する副作用が出やすくなるため、一旦服用を中止する必要があります。
  また、造影剤との相性もよくありませんので、造影検査の際にも三日前から休薬をお願いしています。

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