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冬はつとめてに要注意! (2006.12.15)

「春はあけぼの」とはご存知枕草子冒頭の文章です。以下「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて」と続きます。枕草子を桃尻語に翻訳した橋本治氏によると、清少納言は現在でいうところのキャリアウーマンで、彼女がギャル言葉で「春って曙(が最高)!」と論評しているようなものだそうです。枕草子は口語体で記されていることが大きな特徴であり、無駄な部分を極力省いて「春は曙がもっともすばらしい」というところを、「いとおかし」を省略して表現したのでしょう。彼女によれば季節ごとにいつの時間帯がよいかというと「冬はつとめてが最もすばらしい」ということになります。「つとめて」とは、今で言う早朝にあたります。

秋田県立脳血管研究所の報告では脳卒中の起こりやすい季節は冬場です。脳卒中には脳出血(脳血管が切れるもの)と脳梗塞(脳の血管が詰まるもの)があります。そのうち脳出血は圧倒的に冬場に多いのです。脳梗塞も全体的に見るとややその傾向がありますが脳梗塞の場合夏場の脱水に伴うものもありますので平均すると季節性は強くないとされています。では、脳卒中の起こりやすい時間帯はどうでしょう。それは朝、起床時に発病することが多いのです。朝に多い原因は、朝方に血液中の水分が不足気味となって血液が粘調になりやすいこと、起床時には交感神経が緊張して血圧が上がる方が多いことなどが原因です。心筋梗塞にも危険な時間帯があり、やはり目覚めてから2〜3時間が最も危険といわれています。これも同様の原因に加えて、不整脈が起こりやすいためといわれています。

広島県医師会のホームページには心筋梗塞予報・脳卒中予報があります。ここには本邦初の「その日の気候による心筋梗塞や脳卒中になりやすいかどうか」の予報が載せてあります。インターネットをされる方はぜひこのページを「お気に入り」に加えておいてください。少しでもこうした血管障害のリスクを避けるのに非常に有意義な試みだと思っています。そのホームページにはさらにどういった場面で注意が必要か書いてありますので抜粋します。

  • 生活の中で体を冷やさないよう寒さ対策をしっかりしてください。
  • 家庭では、トイレや脱衣場そして廊下を暖めてください。
  • 入浴では一番風呂を避け、バスルームをあらかじめ暖め、急に熱いお湯に入らないように気をつけましょう。
  • トイレ・廊下ではガウンなどを羽織りスリッパを着用して体が冷えないようにしましょう。首と足を冷やさないことが大切です。
  • 外出時には、コートはもちろん、帽子、マフラー、手袋など防寒具を身につけ、寒さを避けるようにしてください。
  • 冷たい空気を吸わないようにマスクをつけることもお勧めします。

冬は早朝がすばらしい。特に雪が降っていたりすると言うまでもない。霜の白いのも最高、と清少納言は言います。しかし冬の早朝には注意しておく必要があるのだ、という認識も重要です。寒い朝には一杯のお茶で体を暖めてしっかりマフラーなど防寒対策を行って、ゆるゆると活動を開始するといった習慣づけをしましょう。「冬はつとめて」に注意が必要なのだと再度ご確認ください。

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