糖尿病関連情報

糖尿病カレンダー

一月 心臓のチェックに運動負荷心電図を

糖尿病では動脈硬化は一般の人より10年以上早く出現するといわれています。心臓の動脈硬化は狭心症、心筋梗塞といった形で現れますが、狭心症の段階では安静時の心電図には変化のないことが多く、これのみでは不十分で、運動負荷をかけて変化がないかどうかをチェックすることが必要です。症状がないからといって油断はできません。糖尿病の方ではこれらの心臓の病気があっても無自覚のまま進むことがあるからです。早期に心臓の変調に対処するためにも、また、安全に運動療法を行っていくためにも1〜2年に一回は運動負荷心電図を受けておくようにしましょう。

二月 年に一度は必ず眼底検査を

糖尿病性網膜症は、変化なし→単純性網膜症→前増殖性網膜症→増殖性網膜症と進んできます。単純性網膜症までの段階は内科的な血糖コントロールが最も重要ですが前増殖期以降になると適切な眼底の処置が不可欠です。変化の出てくるのが周辺部の場合、視力の障害なしに進行する場合もありますので、視力低下が起きれば眼科を受診したらいい、というのは間違いです。半年から一年に一回は眼科で診てもらうことが大切です。眼底検査の場合、散瞳したほうがよく観察できますので、できるだけ自動車を運転せずに受診し、散瞳下で見てもらうようにしましょう。

三月 糖尿病と上手につきあう

糖尿病の運動療法として大事なのは「安全に」行えて、「長続きする」ことです。その意味で最も勧められる手軽な運動は歩くことです。これなら体調に応じて強さを加減できますし万歩計を使って運動量も測定できます。いつでも、どこでも、ひとりでもできます。「毎日しっかり歩く」ということは考えてみれば糖尿病でない人にとっても健康を保つために非常に大切なことです。
わたしは糖尿病だから運動療法をしなければいけない、と後ろ向きに考えるのでなく、運動を行うことが日々の生活の中での喜びだと感じることができれば、糖尿病とうまく付き合っていくことが出きるでしょう。

四月 A1C(エーワンシー)について

A1C(エーワンシー)は、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)とか、糖化ヘモグロビンとか、グリコヘモグロビンとか呼ばれる1〜2か月の平均血糖を示す指標です。赤血球の一部に糖と結び付くものがあり、血糖値が平均的に高ければ高いほどこの値は上昇してきます。血糖値は一瞬の値でしかありませんので血糖のコントロールはむしろこのA1cを目安としてコントロールを行ないます。目標値は6.5%以下です。この値が7.5%を越えるようだと要注意、将来的に合併症を生じる頻度が高まってきます。この値をできるだけ下げてしかも低血糖や肥満が来ないようにしていくことが大切です。

五月 糖尿病治療の目標は?

糖尿病治療の目標は単に血糖を下げる、ということではありません。血糖を下げるのは手段に過ぎず、血糖を正常化することを通して合併症を予防するのが糖尿病治療の真の目的です。合併症を予防するためには肥満を来たさないことが必須条件です。特に腹部まわりの脂肪はインスリンを効きにくくし、血圧を上げ、血液脂質を上昇させます。血糖をコントロールしていてもこの腹部の脂肪がコントロールされないと合併症は出現しやすいのです。だから食事療法、運動療法が必要なのです。

六月 一度始めるとインスリンは癖になる?

高血糖が長く続くと、膵臓が疲れ果ててインスリンを出しにくくなります。こんなときインスリン注射で血糖を下げてやると再び元気になり、インスリンを出してくれるようになります。「インスリンが癖になる」ことはなく、インスリンを使うことを極端に恐れる必要はありません。また、今まで肥え気味でインスリン注射を行なってきた人、食事療法、運動療法をきちんと行なってみて下さい。インスリンはどんどん減り、中止できるようになるかもしれません。

七月 合併症はどのくらいの期間で出現する?

血糖のコントロールが不良の状態がどれくらい続けば合併症が出現してくるのでしょうか。5年で神経症、7年で網膜症、10年で腎症、さらに15年で腎不全から尿毒症へのコースをたどります。また、動脈硬化は糖尿病のない人に比べて10年以上早く進行するといわれます。糖尿病の恐さは、こうした合併症が症状のないうちにひそかに進行していっている点にあります。コントロールが悪いと今のうちは症状がなくても、合併症が意外に早くやってくるものなのです。

八月 尿中微量アルブミンとは?

おしっこに出てくる最も細かい蛋白質が尿中微量アルブミンであり、これは糖尿病で腎臓が傷害された時に一番早期に出てくる変化です。これがどうして重要かというと、この時期の腎症は血糖をきちんとコントロールすれば改善する可能性があるからです。この時期を過ぎてテープで蛋白が常に出ているような状態になるともう腎臓が正常に戻ってくることは難しいといわれています。後は腎不全への一方通行です。そうならないためにもときどき微量アルブミンをチェックし早期腎症が出てきていないかどうかを知ることが大切なのです。

九月 癌検診について

糖尿病患者の第一の死因は何でしょう。日本人全体では癌死が最も多くなっていますが、糖尿病患者で見てもやはり癌死が最も多いのです。もちろん動脈硬化ということで脳血管障害、心血管障害をひっくるめてしまえばこちらの方が断然多くなりますが、癌死はけっしてあなどることのできないものです。糖尿病で定期的に病院にかかっているからといって油断は禁物。肺癌や胃癌等の早期発見を行うためにはやはり検診やドックは有用なのです。癌年令になったら地域や職場の検診を定期的に受けるようにしましょう。

十月 糖尿病は「はかる」病気

糖尿病は「はかる」病気であるといわれます。一に食事量を、秤はかりを使って計る。二に運動量を、万歩計を用いて計る。そして、インスリン注射をしている人はできるだけ自分で血糖を測る。そうでない方は尿糖を測る。こうした自己管理ができず、ずさんになっている人ほど合併症は出てきやすいようです。きちんと食事療法、運動療法を行ったうえで、毎日体重を測りましょう。時々、ストレスがかかり過ぎてないかどうか、ストレスの度合いも自分なりに測ってみましょう。

十一月 糖尿病で最も大切な治療は?

糖尿病治療の三本柱は、1、食事療法、2、運動療法、3、薬物療法とされていますが、では最も基本となる治療は何でしょう。それはこれら三つの柱の前に必要な「糖尿病教育」です。糖尿病は症状が前面に出てくる病気ではないので、まず「なぜ、コントロールが必要か」「コントロールを怠ると何が起こってくるか」を知ることが必要なのです。これらの知識が、食事療法、運動療法、薬物療法を継続していく力となるのです。糖尿病のことをもっと知りたい方、スタッフに気軽に問いかけてみて下さい。

十二月 α-グルコシダーゼ阻害剤について

糖尿病という病気には以前は使用できる薬が限られていました。飲み薬ではインスリン分泌を促進する薬だけだったのです。こうした薬は使い方を誤ると肥満を来たしたり、食事療法、運動療法の障害になったり、軽症の糖尿病ではつかいづらい薬でした。
その次に α-グルコシダーゼ阻害剤という薬が使えるようになりました。この薬はこれまでの薬と違い、糖の吸収を遅らせて食後に血糖が上がるのを抑制しようという薬です。いわば食物繊維の役割を果たしてくれるわけです。副作用としてガスが出やすくなりますが、じきに慣れてきますので特に軽症の糖尿病の方に勧められます。

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