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癌で死なないために 4

今までに肺癌、胃癌、大腸癌について書いてきました。また、がんの早期発見目的で今注目を浴びているPET(ペット)についてもお書きしました。今回は男性に特有の前立腺癌と女性に特有の子宮癌、乳癌をとりあげてみましょう。

4,前立腺癌、子宮癌、乳癌

前立腺癌で死なないためには、男性は50才を過ぎたら時々前立腺癌の腫瘍マーカーをチェックするということが重要です。これはPSAまたはPAという血液検査です。当院でもチェック可能です。特に尿の流れに勢いがなくなったり、出にくかったりした場合、「年だから」と放っておかず検査が望まれます。症状は単なる前立腺肥大症によるものかもしれませんが前立腺癌の除外がぜひとも必要ですのでそうした症状がおありの方は外来受診時にお申し出下さい。

子宮癌は大きく子宮頸癌と子宮体癌(子宮内膜癌)の二つに分けられます。これらは子宮の入口と内側という、できる場所が異なるだけでなく、癌の発生してくる発生母体が異なります。性格の異なる癌であるため検査や治療法は両者で異なりますが、初期症状としてはいずれも不正性器出血が挙げられます。月経とは無関係の性器出血があった場合、婦人科の受診が必要です。これらはいずれも検診による早期発見により完治の期待できる癌ですので検診を時々受けていただきたいものです。子宮の粘膜を擦り取って調べる「細胞診検査」を受けていただければ癌の早期発見に非常に有用でしょう。

さて、乳癌は近年大変増加している癌のひとつです。最近では女性の30人に一人が罹患すると言われています。乳癌の発症を多くする危険因子として1、初潮が12才以前、2、閉経が50才以降、3、肥満、4、出産経験がない、5、初産が35才以上、6、流産・早産回数が多い、7、授乳期間が短い、8、女性ホルモン剤の使用経験あり、9、乳癌検診を受けたことがない、10、母親・姉妹に乳癌の既往がある、11、以前、乳腺疾患と診断された、こうしたことが挙げられています。多くの方がこのような危険因子をいくつか抱えておられるのではないでしょうか。たとえ危険因子が多くはないという方でもこの乳癌の増加には生活様式の西欧化が関与しているためリスクは決して低くはありません。40才以上ともなるとどなたも乳癌検診は受けておきたいものです。以前は視触診が主体でしたが、視触診のみの検診では十分ではありません。もっとも重要なものはマンモグラフィーという検査です。このマンモグラフィーは乳房をプラスチックの板に圧迫してはさみX線検査するもので、受けた1000人に1〜2人が乳癌と診断されているそうです。
この検査の導入により診断精度が飛躍的に向上しています。乳房の大小も関係なく、怖い検査ではありません。
最近ではこの検査専用に女性の技師で対処している施設もあるので、男性に検査を受けることに抵抗がおありの方は各施設に問い合わせてから受診されるとよいでしょう。

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