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癌で死なないために 3

2回の連載で「癌で死なないために」シリーズを終えようと思っていたのですが、紙面の都合から 1 回にひとつの癌を取り上げるのが精一杯でした。もう少し続けさせていただくことになります。今までに肺癌と胃癌を取り上げました。今回は近年増加している大腸癌について、どうやったらこの病気で命取りとならないかを書いてみましょう。

3,大腸癌で死なないために。

大腸癌が増加してきた最大の要因は食生活の欧米化です。動物性脂肪の摂取過剰、食物繊維の摂取不足、これらが一連の生活習慣病のみでなく大腸癌の発症にも関係していることがわかってきました。逆に言えばどういった食生活がその発症予防に有用かというと、食物繊維の豊富な穀類や豆類、緑黄色野菜といったものということになります。これらの食物は便の量を増加させることで便に含まれる発癌物質を希釈し、腸粘膜と発癌物質との接触を防いでくれます。しかも糖やコレステロールを吸着して高血糖や高脂血症を予防してくれる働きもありますから一石二鳥〜三鳥ですね。

でも、食生活に注意しているだけでは十分ではありません。大腸癌の危険年齢は40才ころからですので、この年令にさしかかったら大腸癌検診が望まれます。便潜血検査が検診として行われ、それはトイレで排便しその便を専用の棒でこすって容器にいれて提出する方法です。この方法は人間の赤血球に特異的な反応を見るものですからかなり信頼性が高く、一度でも陽性に出たなら検便をいたずらに繰り返すことなしに次の段階の検査へと進みます。次の段階としては1、注腸造影検査(バリウムと空気を用いて台の上でごろごろしてレントゲン検査を行うもの)2、大腸内視鏡検査(大腸のカメラ―大腸ファイバーを用いて観察するもの)という二通りがあります。しかしバリウムの検査で引っかかった場合はいずれにしろ内視鏡検査が必要となりますので最初から内視鏡検査がお勧めです。

今までに多くの方に便潜血検査を行っていただき、その検査が陽性で大腸ファイバーを受けていただいた方の何人かに癌がみつかっています(もちろん、切除可能な段階でです)。また、大腸ポリープが見つかってその切除術を行っていただいたことも何度となくあります。 (僕自身この夏、大腸ファイバーで3個のポリープを切除していただきました)
大腸のポリープは胃のポリープと違って、大きくなると癌化します。ポリープのうちに切除してしまうということも非常に重要な大腸癌予防の手段というわけです。

ポリープができやすい方は定期的に大腸ファイバーを行うことが必要になりますが、苦痛が大きいと繰り返し行いたくないでしょう。この検査は施設によって苦痛の度合いが大きく異なりますので、しょっちゅう検査を行うことが必要な方はきちんと鎮静剤を使用して検査していただける施設で受けられるのがよいでしょう。そういった施設での予約も可能ですのでご希望の場合は外来時にご相談ください。

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